ボードゲームと馬と

ゲームの感想とか馬の話とか

社会人2年目の競馬未経験者が、一口馬主の沼にどっぷりとつかり、一生の推しを見つけるまで

めちゃくちゃ久しぶりにこのブログを更新する。お久しぶりです。

この記事は、一口馬主アドベントカレンダー

adventar.org

の1日目です。 f:id:masa_marulimo:20211218010523j:plain

2日目はういぱさん! あの三冠馬デアリングタクトをもつパパの文章に刮目せよ!!!!! ameblo.jp

というわけで1日目は言い出しっぺのまるぃもです。 ウマ娘が流行り、競馬のニュースがちょくちょくヤフーニュースのトップを賑わす最近。気づいたらウマ娘ではなくリアル馬にソシャゲゲーマーもちょっとびっくりするくらい課金している社会人9年目が、その沼に急速に浸かっていく様を振り返ろうと思う。

はじめての競馬場から「当たり馬券」まで

競馬との出会いは、こうした競馬人気の兆しがまだそこまであらわれていなかった2015年3月の中山競馬場だった。なんかもっと競馬場って汚いイメージだったけど割とキレイじゃんと思った記憶がある(のちに東京競馬場が格段にキレイでさらに驚いた)。

クソ寒い中山競馬場のスタンドに、会社の先輩に連れられてちょっと震えてた。握りしめていたのは中山8Rマッチレスヒーローの単勝馬券だ。残念ながら結果は2着。当たらなかったにも関わらず、目の前を馬が走り抜ける迫力に、なんだこのすげえエンターテイメントは、と衝撃を受けた記憶がある。同時に、財布の中身もなくなったことでも震えていた。 帰りに先輩が「馬券だけじゃなくて、一口馬主っていう馬を1頭を人数割して馬を持てる制度がある」みたいな解説をしてくれたのを覚えている。そんときは「ふーん」って思ってて、まさか人生をかける趣味になるとは思わなかった。

その後、競馬沼にハマる人は誰しも経験があるであろう"馬券的な大当たり"も経験した。2015年11月のジャパンカップだ。ボードゲーム仲間が誘ってくれて、よく知らない人たちと15人くらいでわいわい見た。豪気なおじさんが「これワイの出資馬や」とか言ってたり、なぜかマークシートを書いて自分で買わずに他人にわたしまくってるおじさんがいたり、みんなで数百円ずつ出し合って当たったら飲み代にする用の馬券を共同で買ったりした。これがめちゃくちゃ楽しかった。初めて生で見たG1スタンド席のあまりの熱気というか熱狂にあっけにとられたのもよく覚えている。

馬券についてはその前までの重賞(鳴尾、宝塚、京都大賞典秋天)を連勝していたラブリーデイが好きだった僕は「こいつは負けるまで買う」とか言いながらラブリーデイ単勝馬券を買ったあと、なんかよくわかんないけどラストインパクトショウナンパンドラとの3連複を500円だけ買い足した。(前述の豪気なおじさんが「ええやん」って言ってたから買った気もする。)これがスマッシュヒット。60倍が直撃した。たしかこれでSwitchを買ったような。記憶は定かではないが、出てくるドーパミン(?)に脳が焼かれた一方で、直後のレースはハズして「これがギャンブルに人間をのめり込ませる快楽か」と帰り際に冷静な気持ちになったのを覚えている。

ここから2年ほど、1レース100円から500円くらいを全レース賭ける豆馬券師をやっていた。1日3000円くらいで家にいて楽しめる競馬というエンタメは、ボドゲに行けない日の暇つぶしとして最高だった。ジャパンカップとか有馬とか、大きいレースはそこそこの勝負をして楽しんだりもした。もちろんトータル収支はマイナス。でもまあボードゲームに比べれば全然お金を使ってなかったし、たまに勝ったときに美味しいごはんを食べるのは嫌いじゃなかったので、このまま豆馬券師を一生やっていくんだと思ってた。

POG(ペーパーオーナーズゲーム)と一口馬主コミュニティの謎

これが全然別のフェーズに進んだのはもう少し先だ。転機になったのは、POG=競走馬の仮の(ペーパー)オーナーとなって、賞金を競うゲームだった。 先述したジャパンカップにいた豪気なおじさんことRさんが主催するPOGに誘われたのだ。半分くらいが一口馬主で、半分は沼にあまり深入りしてない人たちが参加する"みんなでドラフトを楽しもう"くらいのゆるい会で、変にお金とかも動いていなくて、優勝景品は一口馬主の人が提供してくれた馬のカードだったりしたのもよかった。(※最近は職場でやってる人たちが検挙されてる例もあるし、やべーPOGでコテンパンにされた人の話とかも聞くので、本当にこの健全POGに出会えたのは幸運だった。)

そしてここで衝撃の出会いをしてしまう。スタセリタの14、のちのオークスソウルスターリングだ。新馬から阪神ジュブナイルフィリーズまで4連勝し、桜花賞こそ先に抜け出したレーヌミノルに屈したものの、オークスでは反省を生かして番手で進め完璧な競馬で押し切った。この馬を持っていただけで勝ってしまった、という初POGだった。このとき参加してる一口馬主のみなさんに、「いきなりソウルスターリングが引けるなら、一口やってみなよ」と言われたのが全てのはじまりである。僕はすぐ調子にのるので、その言葉にのせられて一口馬主をはじめてしまったのだ。

ちなみに、ここまで読んでくれた経験者は気づくと思うんだけど、この時点でもうかなりコミニュティに恵まれている。このPOGには界隈では有名な一口富豪Rさんだけでなく、今でもよくボードゲームをしたり一緒に競馬を見に行ってくれるUさんとか、キャロットに入ってないのに深夜まで飲みながらキャロットを一緒に検討してくれる居酒屋店員のOさんとか、ウインの紹介&レクチャーをしてくれるNさんとか、某競馬ゲームを作ってる会社のMさんとか、のちにG1馬を僕にプッシュしてくれる★神様とかがいる。馬の引きなんかより、人の引きが良かった。いや、ほんとにいい人が多いんだ。

そして沼へ

話を一口馬主スタートに戻そう。 このときは何にもわからなかったんだけど、オークスが終わった時点ではもうシルク募集とかけっこうギリギリで、仕事や生活がめちゃくちゃ忙しかったりもして、なんとか落ち着いた頃に募集をやっていたのがキャロット。ここでも例によってRさんが「2-3頭書いても入会できないから、ノーザン産10頭くらい書いとけば1頭くらいひっかかるやろ」と言っていて鵜呑みにして10頭書いたら3頭も当たってあたふたしたりとか、キャロットの結果がわかるまでになんか急に一目惚れしてしまったウインでゴシップクイーンの16(ウインゼノビア)を衝動買いしたりとかしていて、バタバタと年末まで過ぎていった。水戸市京成百貨店にある喫茶店で、カタログと3時間くらいにらめっこしてたのは記憶に新しい。

なお、一口馬主は買ってから1年は実はめちゃくちゃ暇である。近況は月に1-2回、それも数行しかないので、めちゃくちゃ出走が待ち遠しかった記憶がある。翌年6月、初めての出走が近づくにつれソワソワし始め、馬用のTwitterアカウントなんかも作ったりした。

迎えた6月の第1週。幸運にも、一口をはじめた年の新馬戦1週目から、出走馬がいた。彼女の名前はウインゼノビア。間違いなくこの子が僕に一口馬主の楽しさを教えてくれた最初の馬だ。 1番人気で迎えた新馬戦、満を持して追い出した松岡騎手をみて「捉え切れる!」と思ったところからあと少し伸びずの2着。競馬であんまり声が出たことってなかったんだけど、この時ばかりはあまりの悔しさに声が出た。 そして3週後、今度は鞍上を戸崎騎手にかえて、今度こそ未勝利を完勝する。幸運にもこのとき口取りに当たっていて、生涯で一度しかしたことのない口取りをここで経験することになる。このときに青木先生が「グレートキャティ17もよろしく!」って言ってたからウイングレイテストに出会えたりもしたのだが、それはまた別の話。府中の地下馬道を通って芝コースの真横でやる口取りは、「一口馬主の楽しみ」を凝縮したような経験だった。コロナ禍に入ってから今もまだ口取りはおろか入場制限が続いていて、本当にこのタイミングではじめた人たちはかわいそうだと思うが、僕自身はこの時に一度口取りをさせてもらったことが今も大きなモチベーションにつながっている。

そのあとびっくりしたのがもう一つ。リアルでの祝福だけでなく、祝福のリプライでTwitterの通知が鳴り止まなかったのだ。 これは一口馬主イッタラー独特の習慣で、全ての人の勝ち馬にとりあえずおめでとうを言いまくるのだ。このコミュニケーションが本当に最高で、(自分の馬と一緒に走っているとき以外は)掛け値なしに人の馬の勝利を喜べるし、また、勝った時はほんとにみんなが一緒になって喜んでくれるのだ。 ここで出会ったのがいま毎年ウインの検討会を一緒に続けてくれている子育て中ユニクロの魔術師Mさんとか血統詩人のBさんとか超馬体派デアタク持ちのSさんとかである。いやもっと出会ってるんだけどいったん省略させてください。

こうして僕は、春になればPOGドラフトをやり、その後ラフィアンを検討し、6月の新馬戦を楽しみ、夏にはウインを検討し、秋にはキャロットを検討し、立て続けにノルマンを検討し、そして年があけるとまたラフィアンの早期募集を検討できる素晴らしいサイクルに入った。この沼がもうヤバくて全く抜けられそうにない。 なお、ある程度頭数が揃うと1週間まいにち楽みがあるのも特徴で、月曜の一口馬主DBの更新で先週の自分の馬の成績を振り返り、火曜にキャロット、水曜は出走想定が出て、木曜はウイン、金曜には土曜の枠順想定が出て、日曜レースが終わると翌週の特別登録が発表される。このサイクルもGWだろうがお盆だろうが正月だろうが止まることはないので沼がめちゃくちゃ深い。深すぎる。

推しから推しの子へ、そして孫へ

この沼、終わりを見せないもう一つの理由がある。それは、馬から馬へ、親子のバトンが渡されるのだ。キャロットなどのクラブでは「母馬優先」という制度があり、母に出資していた会員はその子供に優先的に出資できる(※安くなるわけではない)。これがもう沼沼の沼なのだ。あれだけ愛したウインゼノビアの子どもが、きっともうすぐ出てくるし、ほぼ確実にウインで募集される。そうやってその子たちの中からまた活躍馬が出て、さらに下の世代に血を繋げていく。「お母さんは札幌の1500mでオープン勝ってるし、、」とか言いながら子供の走るレースを妄想するのだ。これ以上のロマンがあるだろうか。僕がただぼーっと10年生きているあいだに、馬から馬へどんどん血のバトンが渡され広がっていく様は本当に感動する。 推しの子供とか孫にまで課金できる趣味、ほんっとに貴重だと思う。ヤバい。

ここまで振り返って、なんの趣味と親和性が高いかなと見ていると、コレクターとかスポーツ観戦との相性がよくて、写真好き、アイドルファン、野球サッカーファンなどはかぶっている人が多い気がする。最近はウマ娘から入ってきた人もけっこういるみたいで、嬉しい限り。どうかこの一口馬主ブームが末永く続いて、ずっと自分の出資馬たちと共に1週間を過ごせます様に。あと、気になる方はぜひ来年のシルクとかキャロットとかの募集をのぞいてみて下さい。

さいごに

振り返ってみると、本当に幸せな一口馬主人生を過ごさせてもらってるなあ。かかる費用とか賞金とか確定申告の話とか全然してないし、沼は馬だけじゃなくて騎手や調教師にもあるって話もしてないし、ここから2年目以降に出会う数々の素晴らしい馬たちの話もしてないし、色々書き切れていないので、また機会があったら書きたい。

みなさま良いお年を。